フランス版と日本版との違い

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Jean ChalopinとBernard Deyries　日本版との違い　Les Mystérieuses Cités D'Or 2

ストーリーなど大まかな部分は基本的に同じですが、日本版と若干異なる点を抜き出してみました。

ここが違うその1　タイトルが違う

日本版のタイトルは『太陽の子エステバン』で、あくまでも、主人公である「エステバン」を中心に捉えていますが、フランス版は、『Les Mystérieuses Cités D'Or』……「謎の黄金都市」というように、主人公エステバンの名前ではなく、「黄金都市」そのものがアニメのタイトルになっています。

ここが違うその2　声優が違う

当たり前ですが、台詞はすべてフランス人声優によるフランス語で話されています。その他、キャラクターの名前が変更されているものがあります。
「グイン」→「Pichu（ピチュウ）」、「ラ･ムー号」→「Solaris（ソラリス）」……などです。
「黄金の大コンドル」は「Condor」で、こちらは特に違いはありません。
各キャラクターの声は、日本の声優に合わせているのかそれほど違和感はありませんが、オウムの「ピチュウ」だけは全然異なっていて、かわいらしい女の子（？）をイメージした日本の「グイン」に比べると、まるで中年男性のような声質です。

声優はこちら。

ここが違うその3　音楽が違う

フランス版に使われている音楽は、制作者から依頼を受けた「Haim Saban」と「Shuki Levy」の両氏が制作し、主題歌をはじめ、BGMもまったく別物となっています。日本版のアコースティックな楽曲に比べてシンセサイザー色が強いのが特色です。主題歌は、アンデスのリズム「ワイノ」を意識したラテン風の曲で、オープニング・エンディングとも同じです。

フランス版の音楽はこちら。

ここが違うその4　映像が違う

「日本版」と「フランス版」では、以下のような「映像の違い」があります。

第1話
「物語冒頭」
日本版	フランス版
特撮映像（嵐の海を漂流するガレオン船）のあと、アニメ本編開始。	特撮映像なし。アニメ本編（バルセロナの港の鳥瞰）から開始。
「バルセロナの酒場にて」
日本版	フランス版
ペドロとサンチョが酒場の客に「謎の黄金都市」について語ったあと、役人が登場。それを見たエステバンが酒樽のうしろに隠れる。	ペドロとサンチョが酒場の客に「謎の黄金都市」について語ったあと、ペドロが、テーブルで酔いつぶれている酔っ払い二人のところに歩いて行き仲間に誘う、という日本版にはないシーンが追加されている。また、「エステバンが酒樽のうしろに隠れる」という、日本版にはあったシーンがフランス版ではカットされている。
「バルセロナの港にて」
日本版	フランス版
早朝の港でエステバンを待っているメンドーサが、一度うしろを振り向き、台詞を呟く。上半身（背面）アップのあと、エステバンの足音に気づいたメンドーサが、もう一度振り返る。	メンドーサが港で待っているシークエンスが日本版よりも短く、一度目にうしろを振り向くシーン、および台詞、メンドーサの上半身アップの絵がカットされている。
「エスペランサ号船内にて」
日本版	フランス版
箱の中に閉じ込められていたシアが、後ろ手に猿轡を噛まされた姿でエステバンの前に登場後、画面がフェードアウトし、本編終了。	箱の中からシアが登場したあと、朝日をバックに不敵に微笑むメンドーサのアップが現れる。その後、船内の窓からエステバンとシア（猿轡と両手の縄は解かれている）が外の様子を窺い、水平線に浮かぶ雲が、「翼のある蛇（ケツアル・コアトル）」に変化する。

第2話
「エスペランサ号にて　その1」
日本版	フランス版
「エステバンの船酔いシーン」で、右記のフランス版に存在するシーンが省略されている。	船室から甲板に出たエステバンが、七色のサイケデリックな背景に包まれたあと、マヤの遺跡を浮遊する。（エステバンの幻想）
「エスペランサ号にて　その2」
日本版	フランス版
「黄金色の蝶が飛来するシーン」で、右記のフランス版に存在するシーンが省略されている。	海の上に浮かんでいた黄金色の蝶が一斉に飛び立ち、「黄金都市」に変化する。（エステバンの幻想）その後は、日本版と同じ。

第3話
「マゼラン海峡にて」
日本版	フランス版
「マゼラン海峡のシーン」で、右記のフランス版に存在するシーンが省略されている。	マゼラン海峡通過時、エステバンがガラス窓から覗いた「岩場」が、ガーゴイルのようなモンスターに変化。その怪物が難破した船を呑み込んでいる。（エステバンの幻想）

第4話
「エスペランサ号の沈没」
日本版	フランス版
甲板でガスパルを待っていたゴメスが、「ガスパルは何をしている」と台詞を呟き、ペレス船長から退避を促されて仕方なくボートに飛び移る。	日本版に見られる左記のシーンと台詞がカットされ、そのままボートでエスペランサ号から離れていくシーンが映し出される。
「洋上での漂流中」
日本版	フランス版
夜、残骸になったエスペランサ号の上で抱き合って眠っていたペドロとサンチョが、「セントエルモの火」を見つけたエステバンの声で目覚め、びっくりしてお互いの身体から離れる。	日本版に見られる左記のシーンがカットされている。
「サメとメンドーサの格闘」
日本版	フランス版
サメが去ったあと、島影を発見したエステバンたちが島に向かって筏を漕いでゆく。その後、岩場のイグアナに迎えられて、本編が終了する。	サメが去ったあと、島影を発見して筏を漕ごうとするが、海流が強すぎて島に近づくことができず、メンドーサが筏を引っ張るためにロープを身体に縛り付けて海中に飛び込む。そこに再びサメが現れ、エステバンから投げ渡されたオールでサメを撃退し、無事に島に上陸する。島にたどり着いたエステバンたちは歓喜してダンスをする。その後、シアがくるりと回って砂浜に座り込む。（このシーンは、日本版では第5話の冒頭に使用されている。また、「シアが回転して小躍りするシーン」は、日本版では残念ながらカットされている）

第6話
「タオの島にて」
日本版	フランス版
フランス版に見られる右記のシーンがカットされている。	本編の冒頭に、筏を漕いで「タオの島」にやってくるメンドーサたちの描写がある。

「映像の違い」　情報提供：Timさん（アメリカ）

※両者にこのような「映像の違い」が見られるのは、アニメーションを制作後、フランス側の要請により、フランス向けに映像をリメイク（描き直し）した理由によるものだそうです。
（当時のスタッフだった方のお話から）

……などなど。（つづく）