＜その2＞
| ――エステバン。またやったな。おまえはやっぱり太陽の子、幸運の子供だよ。 ＜メンドーサ＞ |
| （第5話『世界の果ての島』より） |
| メンドーサの回想 また俺たちは、「太陽の子」エステバンに助けられちまった。 なにしろ、エスペランサ号が沈んでからタオの島に着く間に、一度も嵐に見舞われなかったのだからな。 「太陽の子エステバン」がいなかったらと思うと今でもぞっとするぜ。 あんな筏なんかじゃ、嵐に遭えばひとたまりもなかったからな。 |
| ――不思議ね。あたしちっともこわくない。…エステバン、あなたと一緒だからだわ。 ＜シア＞ |
| （第5話『世界の果ての島』より） |
| メンドーサの回想 タオの島に着いてから、「ビラコチャ」という神の話をエステバンにしたみたいだな。 月のきれいな夜だった。 まったく、エステバンの野郎はうらやましい限りだぜ。 男なら、一度はこんな台詞を言われてみたいと思わないか。 もっとも、俺はごまんと聞かされたがな。 |
| ――いいんだ。この島とは永久にお別れだからね。 ＜タオ＞ |
| （第7話『巨大船の秘密』より） |
| メンドーサの回想 俺たちが流れ着いた島には、「タオ」っていう子供が住んでいた。 エステバンと同じ年くらいだが、たった独りであんなところに暮らしていたっていうから、まったくたいした奴だと思ったぜ。 そこで俺たちは「ラ･ムー号」という船を見つけて、新大陸へ渡ることができたんだ。 それもこれもみんな、「ラ･ムーの子孫」だったタオのおかげよ。 島を出る前あいつは、じいさんの代から何十年もかけて作ってきた大切な「城」をみんな焼き払っちまった。 独りで生きてきたなんて思えないくらい、明るくて前向きな奴だった。 「寂しい」なんて、これっぽっちも口に出さなかったぜ。 やっぱりあいつも「男」だったのさ。 |
| ――ムーの誇りを忘れるな。 ＜グイン＞ |
| （第7話『巨大船の秘密』より） |
| メンドーサの回想 これは、タオのかわいがっているオウムが口癖のように言っていた言葉だ。 たぶん、島にいる間に、タオが独り言のように毎日呟いているのを覚えたんだろうな。 「二人」は本当の「兄弟」のようだった。 タオが独りで生きてこられたのも、グインがそばにいてくれたからかもしれねえな。 |
| ――なんだか、シアの言うことがわかってるみたい。 ＜エステバン＞ ――そうよ。 ＜シア＞ |
| （第7話『巨大船の秘密』より） |
| メンドーサの回想 ラ･ムー号でタオの島を出発するとき、シアが空のカモメや岩場のイグアナに手を振っていた。 まるでそいつらが、シアに応えるみたいに挨拶してくれたっていうんだから驚きだ。 俺にはなんだかよくわからないが、シアには動物と心を通わすことができる「不思議な力」ってもんがあるのかもしれん。 その割には、グインとはあまり馴染みがなかったみたいだが。 シアが、あいつと一緒にいるところを俺は見たことがねえ。 エステバンとはいつも一緒だったがな。 |